コミュニケーション能力とは?ビジネスでの重要性と向上させる方法
2021年8月2日(月)
コミュニケーション能力はビジネスシーンにおいて欠かせないスキルです。多くの仕事は、誰かとの協力なし成立しません。また、仕事を正しく受ける上でも、相手との接し方は重要です。そこでこちらでは、コミュニケーション能力の全容から、その受容性や、コミュニケーション能力を高める方法などを解説します。合わせて、コミュニケーション能力が高い人の特徴などもご紹介しているので、ぜひ参考にしてスキル向上にお役立てください。
ビジネスにおけるコミュニケーション能力の重要性
コミュニケーション能力とは?
まずはコミュニケーション能力を定義してみましょう。一般的には「言語もしくは非言語を使い、意思等を伝える・受け取る・読み取るための複合的なスキル」を指します。ポイントは「コミュニケーション能力は双方向性がある」ということです。
たとえば、外交的な人が必ずしもコミュニケーション能力に長けているとは言えません。一方的に意見を述べるだけで、相手の声を受け止められないような場合は、コミュニケーション能力が十分とは言えない状態です。情報の発信・受信の両方を円滑に行えてはじめて、コミュニケーション能力に長けていると言えます。
言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
コミュニケーションの手段は、言語と非言語に分けられます。言語コミュニケーションはそのまま、「言語を用いたコミュニケーション」です。会話や文字を使うのが特徴で、言葉を話す・聞く、言葉を書く・読むなどが挙げられます。
一方、非言語コミュニケーションは言葉を使わない分、感覚に頼って相手に意思を伝えたり、相手の感情を読み取ったりする必要があります。材料となるのは表情や声のトーン、身振り手ぶるなどのジェスチャーです。言葉にならない感情や本音などの情報を読み取るために用いられます。なお、「ノンバーバルコミュニケーション」とも呼ばれます。
企業においてもコミュニケーション能力は重視される項目
組織にはさまざまな価値観、目標を持つ人が集まります。基準はそれぞれであり、まったく同じになるケースはありません。
しかしながら、企業は目標の達成や組織の成長、ビジョンの実現を目的として活動を行っています。スタッフが一丸となり、同じ方向を向くためにはコミュニケーションが欠かせません。その意味で、コミュニケーション能力は重要なビジネススキルとして捉えられているのです。
ビジネスでコミュニケーション能力が重視される理由
円滑な業務遂行に役立つ
仕事は規模が大きければ大きいほど、ひとりでは進められなくなります。そこで同僚や取引先との協力をしなくてはなりませんが、ここでコミュニケーション能力が大いに試されます。
上司と部下、先輩と後輩、発注先と下請けなど……立場が異なれば、考え方や利害も異なるもの。協力を得るためには、相手からの理解と共感が欠かせません。適切なコミュニケーションが行えれば、協働するメンバーが同じベクトルを向けるようになり、仕事を進めやすくなります。結果として、生産性の向上や成果の最大化にもつながるでしょう。
正確な情報共有でミスを予防できる
コミュニケ―ション能力は、ビジネスにおける情報共有の基本となる報告・連絡・相談(報連相)の場面でも重要です。理由は、正確性の担保です。
情報はわかりやすく、的確に伝わらなくてはなりません。ここでミスが起これば、業務に支障をきたすおそれもあります。自分と相手の認識にズレがある状態であるか、やり取りのなかで気付けるかもコミュニケーション能力のひとつと言えるでしょう。
職場の人間関係を良好に保てる
人間関係の構築にも、コミュニケーション能力は役立ちます。信頼関係は一朝一夕で築けるものではありません。日々の挨拶や会話といったコミュニケーションの積み重ねによって、少しずつ形成されます。
職場の人間関係は仕事を円滑に進めるだけでなく、社員一人ひとりのパフォーマンスや定着率にも影響を与えると考えられています。その意味で、人間関係を良好に保つ能力は、職場環境を改善するという観点でも重要なスキルになり得るのです。
ビジネスで求められるコミュニケーション能力
表現力(伝える力)
ビジネスにおいて、自分の意見や考え方、気持ち、価値観などを伝える場面は数多く訪れます。この際には、自分を正しく表現し、相手に理解してもらうスキルは欠かせません。
ポイントは、相手の立場を踏まえたコミュニケーションです。ビジネスにおいては、論理的な発言が求められます。また、状況などに応じて伝わりやすい構成なども考えなくてはなりません。同時に、話し方の配慮も重要です。単に言葉だけを投げるのではなく、声量に抑揚を付けたり、声のトーンから感情を表現したりといった工夫が、より良い意思伝達につながります。
傾聴力(受け取る力)
自ら発言をするだけでなく、相手が伝えようとしている内容を正しく受け取り、理解するスキルも重要です。また、単に話に耳を傾けるだけではなく、態度もコミュニケーションでは重要です。
具体的には、離している人に視線を向けたり、適度に相槌を打ったり。「私はあなたの話を聞いて、理解をしようとしている」という尊重の姿勢が大切です。一方、相手の話を遮って話し始めたり、話を最後まで聞かずに切り上げたりするような態度は控えましょう。
読解力(読み取る力)
限られた時間のなかで対話を効率的に進めるためには、相互理解が欠かせません。そこで必要になるのが読解力です。
人の発言には背景や文脈、状況といった情報が隠れています。言葉を額面どおり受け取るだけではわからないことも少なくありません。創造力を働かせながら、相手が伝えたいことを読み取る努力をしましょう。なお、相手の口調や表情、ふるまいといった非言語コミュニケーションの情報にも注意を払ってください。
また、会話の内容を俯瞰し、要点を頭の中でまとめておくことも大切です。一度に処理できる情報量には限りがあります。取捨選択をしながら話を聞き、全体像を把握できれば詰めるべき議論が明確になります。
推進力(進める力)
大きな仕事を達成するためには、周囲の人々を巻き込みながら業務を進めていく力が求められます。他者との協力という場面では、コミュニケーションが必要不可欠。スキルのあるなしが、推進力を大きく左右します。
とくに重要となるのは、同僚の得手不得手や特性への理解です。誰に何を依頼すべきかを決めるには、相手のことをよく知らなくてはなりません。また、自分自身が率先して仕事に取り組み、相手からの協力を得られる雰囲気づくりなども必要です。
その意味で、推進力の発揮はかなり総合的なコミュニケーション能力を求められる分野です。前述の表現力・傾聴力・読解力をすべて使いながら、周囲を巻き込み仕事の達成を目指してください。
説得力(納得させる力)
ビジネスにおいてはしばしば、相手を説得し、自分の意見を通さなくてはならない場面が訪れます。成功の秘訣は、やはりコミュニケーション能力です。
相手に自分の意見を納得してもらうためには、第一に理解が求められます。そのためには、明確な理論展開に基づくストーリーを、主張と根拠を以て示しましょう。筋道立てて主張ができれば、相手の理解度が高まります。
また、相手から質問されそうな箇所については事前に対策をしておき、きちんと返せるよう準備が必要です。とくに意識しておきたいのは相手のポジションや権限、組織内で求められているミッションなど。相手を理解することから、説得ははじまります。
なお、説得力は普段の行動なども影響します。信頼感があり、実績や能力が知られていれば、自ずと言葉に力が生まれます。こうした土壌を築くためにも、日頃から相手とどのように接するかがポイントとなります。
コミュニケーション能力が高い人の特徴
話す・聞くのバランスが良い
相互理解はより良いコミュニケーションの土台です。そのためは、発言と傾聴の両方のバランス感覚が求められます。コミュニケーション能力が高い人は、それぞれが同じくらいの分量で意見を出し合えるような配慮を心がけています。
もしも自分が話し過ぎているなと感じているようなら、自身の発言の割合を3~4割程度に抑えるのが効果的です。相手が自分のペースで話をしやすくなり、会話の満足度が高まりやすくなります。結果、コミュニケーションも円滑に進むでしょう。
要点を押さえ、結論から話すことができる
ポイントがズレた会話は長引く可能性が高く、話も横道に逸れがちです。友人との雑談であればそれも楽しいですが、ビジネスの場面ではお互いの時間をムダにしないよう、適切な対話を心がけましょう。
コミュニケーション能力が高い人ほどその意識は高く、要点を押さえ、まとめるスキルに長けています。いわゆるファシリテートスキルが身についている状態です。もちろん、このスキルも一朝一夕では身につきません。はじめのうちは、結論から話すようにして、相手に内容を聞いてもらう準備をしてもらうよう心がけましょう。
相手が話しやすい雰囲気づくりが上手い
コミュニケーションを円滑に進めるためには、相手の発言を引き出すスキルも重要です。その意味で、会話をしやすい雰囲気づくりができるのは、コミュニケーション能力の高い人の特徴と言えるでしょう。
相手がしてほしい質問を投げかけたり、場が和むような発言をしたり。そのほか、話すスピードや声量を相手のペースに合わせるペーシングや、相手の表情や動きをマネるミラーリングといったテクニックを効果的に活用している人もいます。
人の関心を集めるのが上手い
自分の話を聞いてもらうためには、相手に関心を持ってもらうのが一番です。しかし、その前段階でつまずいている方も多いでしょう。
コミュニケーション能力が高い人は、共通の話題を選んだり、相手の興味を惹くような流れをつくったりといったテクニックに長けています。その根本にあるのは、相手の心情を察するというスキルです。
相手の興味関心事を事前に調べる、もしくは会話のキャッチボールのなかから引き出し、その日の態度や状況を踏まえた上で、何に反応してくれるかを読み取る。高度な傾聴力と読解力が求められる分、難易度は高いものの、うまくいけばより良いコミュニケーションが生まれるでしょう。
婉曲表現を上手に使いこなす
奥ゆかしさや謙虚さを示すために、あえて遠回しな言葉を選ぶことを「婉曲表現」と呼びます。たとえば、「確認してください」という言葉を「お手数をおかけしますが、ご確認ください」といった言い換えです。
直接的な表現は相手を不快にさせる可能性があります。コミュニケーション能力が高い人ほど、断りや批判などが必要な際、婉曲表現を上手に活用できるのです。ただし、明言が必要な場面ではハッキリと物申せるという点も、スキルの高さに関わります。
社員のコミュニケーション能力を高める方法
コミュニケーション能力が高い人をロールモデルにする
コミュニケーションは「見て覚える」のが早い場合も少なくありません。そこで、話し上手や聞き上手の写真を観察し、良い点をマネしてみるのがおすすめです。日常的な挨拶や、他部署との連携・相談の仕方など。よく見てみると、コミュニケーションにはさまざまな工夫が隠れていると気付かされるはずです。
また、コミュニケーション能力に優れた上司や先輩社員から、直接アドバイスをもらう方法もあります。自分のコミュニケーションには何が足りないのかや、どこを伸ばすべきかなどを聞いてみましょう。
PREP法を浸透させる
論理的な話し方は情報の正確性を高めるほか、説得力にもつながります。そこで意識したいのがPREP法です。
- Point(結論)
- Reason(理由)
- Example(事例)
- Point(結論)
PREP法では、上記の順番で話を組み立てます。議論の場面はもちろん、日常的な報告・連絡・相談の場面で繰り返し練習をすれば、自然と論理的な話し方が身につくでしょう。
5W1Hを意識させる
正確な情報は円滑なコミュニケーションに欠かせません。そこで、伝達の際に常に意識しておきたいのが5W1Hです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
シンプルでありながらも、さまざまな場面で応用が利くのが5W1Hの特徴です。漏れのない報告を行うために、項目が満たせているかをチェックしながら発言等に役立ててください。
ミーティングの議事録を作成させる
新社会人の多くは、ある程度のタイミングで議事録の作成を任されるようになります。さまざまな目的がありますが、「ビジネスコミュニケーションの基礎を学ぶ」もそのなかに含まれます。また、わかりやすい議事録を作成するには、読み手の立場や視点への配慮が求められるため、自ずとコミュニケーション能力が磨かれていきます。
社員研修を実施する
コミュニケーション能力の向上を目的とした研修プログラムがある
→カリキュラムの例:話す・聞く・書くスキルを基本から学ぶ など
業務内容や社員の階層に応じてプログラムを選ぶと良い
→社員の立場によって求められるコミュニケーション能力が異なるため
コミュニケーション能力を向上させる社員研修プログラム
社員研修には具体的にどのようなプログラムがあり、どのようなスキルを育成できるのでしょうか? 社員教育研究所の研修を例にして、具体的な内容を確認していきましょう。
新入社員のコミュニケーション能力を高める研修
フレッシュマン颯爽研修
新入社員を対象としたビジネス研修です。話す・書く・行動するといった基本能力の研修と実践に加え、挨拶や集団生活における人間関係構築のスキルを学びます。総合的なコミュニケーション能力を身に着ける第一歩としてご活用ください。
「フレッシュマン颯爽研修」を詳しく見るオンライン若手社員研修
気付きを重視した意識改革のプログラムです。コミュニケーション能力を高めるという観点では、「発言力」「説得力のあるスピーチ力」といった自ら話すスキルに加え、倫理的思考や仕事の受け方を学ぶことによる「受け止める力」を育みます。
「オンライン若手社員研修」を詳しく見る中堅社員のコミュニケーション能力を強化する研修
行動力パワーアップ
管理職などのポストで必要になる「行動力」を育成するプログラムです。ディベートなどを通して考え方を磨くのと同時に、各種訓練で表現力や説得力などのコミュニケーションスキルを高めます。
「行動力パワーアップ」を詳しく見るビジネス特別実践研修
新入社員(3月・4月)から一般社員まで。幅広い対象に向けて行うビジネス研修プログラムです。「話す・聞く・書く・行動する・考える」といった、まさにコミュニケーションを通した学習で、気付き、行動し、習慣化を後押しします。
「ビジネス特別実践研修」を詳しく見る管理職のコミュニケーション能力をさらに高める研修
指導力向上研修
管理職および中堅社員を対象にした、指導力向上のためのプログラム。褒め方や注意の仕方など、指導にはコミュニケーション能力が求められる場面も少なくありません。ロールプレイなどを通して、リーダーに求められる指導の方法やスキルを学びます。
「指導力向上研修」を詳しく見るミドルマネジメントセミナーMMS ヒューマンスキルコース
「部下育成指導力」と「CS向上関係力」の2つを身に着けるためのプログラム。それぞれの基本的なスキル・知識を学びながら、好感を持たれる表情や話し方などを、ロールプレイングを通して向上していきます。
「MMS ヒューマンスキルコース」を詳しく見る顧客対応のコミュニケーションスキルを磨く研修
THE接遇
新人から管理職まで。幅広い対象に役立つ接客マナー研修です。接遇に関する基礎を徹底的なロールプレイで習得。プログラムのなかには応対力など、高いコミュニケーション能力が求められるものもあるため、必要なスキルが身につきます。
「THE接遇」を詳しく見る コミュニケーション能力を向上させる研修プログラムをもっと見るコミュニケーション能力の向上でビジネスパーソンとしての実力アップ
コミュニケーション能力はビジネスのあらゆる場面において重要です。日常的な対話や同僚との意思疎通、顧客との接遇に至るまで。仕事を円滑に進めるために、必ず身に着けておくべきスキルと言えるでしょう。能力向上のためには、知識やノウハウを知るだけでなく、実践的な訓練も必要です。今回ご紹介した研修プログラムなどを活用し、社員育成にぜひお役立てください。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。