一体感の醸成が組織に必要な理由は?つながり強化のためにすべきこと
2021年9月8日(水)
一体感の醸成は、強力な組織を作るための大切な要素のひとつです。一体感のある職場では、良い人間関係が構築され、仕事もスムーズに進みます。反対に、職場にまとまりがないと、社員の士気が下がり、仕事のクオリティに影響が出る可能性もあります。
今回は、一体感の醸成が組織に必要な理由や、まとまりのある職場の特徴についてご紹介します。社員同士のつながり強化のために、社長や管理職の方など、リーダーが実践すべき施策のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
組織において一体感の醸成が重要な理由
働き方が多様化してきている
現代では、ライフスタイルの変化やインターネットの活用により働き方が多様化しています。テレワークや時差通勤、時短勤務などの施策を導入し、すでに浸透している企業も多いでしょう。また、新型コロナウイルス感染症の流行で、社員同士が対面する機会が制限されている会社も少なくありません。
働き方が多様化すると、コスト削減や従業員エンゲージメントの向上などの効果が期待できるものの、社内コミュニケーションの場が減る傾向にあります。その結果、つながりや一体感が生まれにくい職場になっている可能性があるのです。
業務の生産性を高める効果が期待できる
一体感の醸成は、業務効率や業績のアップにも欠かせない要素といわれます。組織に一体感があればメンバー間の結束が強くなるため、チームワークを発揮して仕事をする組織風土が生まれやすくなります。そして、社員同士の連携が円滑になり、効率的な仕事が期待できるのです。
人材の定着率が向上する
転職が一般化し人材が流動的になった現代では、人材の定着に課題を抱える会社も少なくありません。会社の居心地の良さや社員の一体感が、離職率の低下につながるケースもあります。
また、人材の定着率がアップすれば、採用や研修コストの削減、生産性の向上が期待できます。協力して仕事をする機会が増えることで、メンバー間の相互理解も進むため、新たなプロジェクトを立ち上げる際のチームビルディングも行いやすくなるでしょう。
一体感が醸成されている組織の特徴
社員のモチベーションが高い
一体感のある組織では、社員のモチベーションが高く、全体が同じ目標に向かって仕事をしている傾向があります。自社の価値観や目標について正しく理解しており、進むべき方向に納得できているため、自然とモチベーションも高くなるのです。
モチベーションの高いメンバーが集まると、相互に影響を受けることでより意欲的に仕事に取り組むようになります。最終的には、目に見える形での成果やサービスの品質向上などにつながり、会社の業績アップも期待できます。
コミュニケーションが活発である
一体感のある組織は、部署の垣根を超えた社員同士のコミュニケーションが活発です。日々の会話や挨拶を通して仲間意識が生まれ、職場の雰囲気が良くなるため、社員同士が信頼関係を築きやすくなります。困ったことがあれば相談したり、会議の場では本音で意見をぶつけ合ったりと、健全な企業文化の育成にもつながるでしょう。
主体的に行動できる社員が多い
一体感が醸成された職場では社員同士の連携が強まり、上司や社長など強力なリーダーシップを発揮する方がいなくても、主体的に行動できる社員が多い傾向にあります。社員同士の連携が密に取れていることで、一人ひとりの役割が明確になりやすいためです。自分に求められていることが明らかになり、誰かからの指示がなくても主体性を持って行動しようとするのです。いわゆる「指示待ち」や意欲のない社員を減らすことができるため、組織力全体の底上げも期待できます。
組織の一体感を醸成するためにリーダーがすべきこと
仕事の目的やゴールを正確に伝える
一体感を醸成するには、社長やトップに立つ方が仕事の目的やゴールを正確に伝え、社員が共通意識を持って働くことが大切です。目指す方向や目的、それに至るまでのプロセスがバラバラな状況では一体感は生まれにくく、情報の伝達もうまくいきません。反対に、目的やゴールを社員と共有できれば自然と一体感が高まり、円滑な業務や情報伝達につながります。また、事前に仕事の目的やゴールを伝えることで、社員が納得して同じ目標に向かって進むことができるため、仲間意識が芽生えやすくなります。
会社のビジョンや理念を認知させる
職場の一体感を醸成するには、会社が掲げるビジョンや理念を社員に認知させ、理解してもらう必要があります。ビジョンが認知されていないと、「なぜこの会社で働いているのか分からない」、「どこに向かって進むべきか分からない」など、社員が自分の進むべき方向が分からず戸惑ってしまうためです。ビジョンや理念に共感してもらうことで、全員が同じ方向へ進みやすくなります。
ただ、企業理念や行動指針を掲げていても、入社時に軽く触れた程度など、浸透させるための施策をあまり実施していない会社も少なくありません。そのような場合は、毎日の朝礼で触れたり、社内にポスターを掲示したり、経営理念に対する理解度を人事評価に組み込んだりする方法が効果的です。
社内のコミュニケーションを強化する
組織の一体感を醸成するには、社内のコミュニケーションを活性化させることも重要です。社員同士の信頼関係は、対話やテキストのやり取りを通して築かれるのが理由です。コミュニケーションの少ない現場では、なかなか相手を信頼することができず、一体感や連帯感が生まれにくくなってしまいます。
コミュニケーション強化の施策には、相手の心境や考えをさらに深く理解できるよう、感情の共有ができるものを選ぶのが良いでしょう。具体的には、仕事内容について称賛や評価しあったりできるチャットツールを導入したり、定期的に社内で交流イベントを開催したりするなどの方法があります。
特に、テレワークを導入している会社は、コミュニケーションの活性化を重視する必要があります。テレワーク時はオンライン上のテキストのみでやり取りすることが多く、相手の表情や感情が判断しにくいためです。Web会議の前後に雑談の時間を設けたり、ビデオ通話でお互いの顔を見ながら昼食を取ったりなど、社員同士が直接コミュニケーションを交わせる場を提供しましょう。
ただし、信頼関係が構築されるまでの期間には個人差があり、施策を講じてすぐに成果が出るとは限りません。業務とは関係のないツールの利用やイベントへの参加を強要することで、かえって会社に対する不信感につながる可能性もあります。会社や上司はあくまでサポートに回り、社員同士のペースに任せるのが望ましいでしょう。
「一体感の醸成は時間をかけて行おう」
今回は、組織運営で一体感や連帯感の醸成が求められる理由や、一体感を生み出すための秘訣、具体的な施策についてご紹介しました。一体感のある職場では、社員が高いモチベーションで主体的に仕事をこなし、企業の業績や売上アップに貢献しています。生産性や主体性に悩んでいる会社では、一体感の醸成が喫緊の課題といえるでしょう。
しかし、一体感やチームワークは一朝一夕で生まれるものではありません。社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整えるなどして、時間をかけて作り上げていくことが大切です。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。