共感力をトレーニングするには?ビジネスで相手に寄り添うメリット
2021年11月11日(木)
ビジネスでは同僚、部下、上司、社外の方などとコミュニケーションをする機会が少なくありません。自然なやり取りをするため表現力や思考が大切だと考えられていますが、近年になり特に重要視されるようになったのが共感力です。こちらでは、共感力がどういった能力なのか、ビジネスの人間関係においてどのようなメリットがあるのか、社員の共感力を育成する方法などについて紹介します。
ビジネスシーンにおいて重要な共感力とは
共感力とは?
共感力とは、他者の意見や感情などに寄り添える力のことを指します。人間が集まるコミュニティでは例外なく求められますが、組織で仕事をする際のコミュニケーションで役立つことも多いため、ビジネスシーンでも重視される能力です。
「寄り添う」といっても、意見を持たず他者へ無条件に従ってしまう考え方とは異なります。共感力がある人は、聞き上手で他者の考えを理解できるだけではなく、自分の意見をしっかりと持っていることが多い傾向があります。対話を通して相手の意見との共通点を見つけることができるのも特徴です。
心理学の分野のひとつである感情心理学では、共感を認知的共感と情動的共感に分類しています。認知的共感とは他者の視点を理解する能力です。対して、情動的共感は感情移入して他者の感情をくみ取る能力を意味します。
多くのカウンセラーが共感力に関する研究を行っています。専門的なカウンセリングだけではなく、仕事やプライベートの対人関係で役立つことも少なくありません。共感力に関する著作が数多く発表されているため、読書で学習してみるのもおすすめです。
共感力が高い人の特徴
傾聴のスキルを身につけている
共感力が高い人は、傾聴のスキルが高い点が特徴です。傾聴とは相手の心に寄り添った話の聴き方のこと。相手の気持ちに共感し、自分からは基本的に主張せず聞き役に徹します。相手の話を遮ったり、頭ごなしに否定したりはしません。
周りの人や物事に興味関心を持っている
周りの人や物事について常に関心を寄せているのも、共感力が高い人の特徴です。人の性格や嗜好、物事が起こる背景について旺盛な好奇心を持っています。周囲の人に対する観察力が高い点も特徴です。他者の感情への理解はこうした興味関心が原動力になっているといえるでしょう。
自分の価値観やアドバイスを押しつけない
共感力が高い人は、自分の価値観やアドバイスを押しつけ、相手の考えを否定することはありません。常に相手の気持ちを尊重します。相手の意見との間に大きな違いがあったとしても、寄り添った言葉をかけるように努めます。
相手の立場を想像することができる
相手の状況・立場を想像したうえで意見を聞くことができるのも共感力が高い人の特徴です。このことから、相手の考えをより深く理解することができます。想像力を働かせ、言語化されていない気持ちについて理解しようとするのも特徴のひとつです。
ビジネスパーソンが共感力をトレーニングするメリット
コミュニケーションが円滑になる
共感力を身につけると、相手に寄り添ったコミュニケーションを実現できるようになります。プライベートだけではなく、立場が異なる人と関わる機会が多いビジネスシーンでも有効なスキルといえるでしょう。上司と部下、部署の異なる同僚、顧客など、仕事をしていて人と関わるシーンは少なくありません。
商談やプレゼンテーションなどのスキル向上にもつながります。商談では、相手の立場に立った提案ができるようになるため、売上への貢献も期待できるでしょう。
リーダーシップの向上が期待できる
共感力が上がれば、周囲からの好感度を高められ、周りからの信頼を集める効果が期待できます。仕事で大きな成果を上げるには、多くの人から協力を得ることが不可欠です。リーダーの共感力が高ければ、メンバーの力を最大化して大きな成果を出せる可能性があります。
近年では、リーダーとなる人材に共感力が求められる傾向にあります。上司に自分の気持ちを分かってほしいと考える部下も多いことが大きな理由です。共感力の高さで部下の感情を理解していけば、部下のモチベーションアップにつながります。
社内の人間関係が良好になる
共感力の高い社員が増えると互いの信頼関係が築かれやすくなります。社員にとって安心して働きやすい環境づくりにつながるでしょう。
社内の人間関係は、企業の生産性や離職率に影響を与えると考えられています。良好な人間関係が構築されている職場であれば、周囲の人に相談しやすく、同僚との連携がとれている状態のため、効率的に仕事へ取り組みやすいでしょう。社員が抱える不安や悩みを互いにサポートすることで、問題を速やかに解消しやすいのもメリットです。
社員の共感力をアップさせるトレーニング方法
社内コミュニケーションを見直す
社員の共感力をアップさせるためには、日常的な会話のなかで、相手に共感を示す練習をさせる取り組みが効果的です。意識的に相手の立場をイメージする、表情をよく観察する、オウム返しで相槌を打つ、といった行動をとるように促しましょう。
こうしたトレーニングは、常に思いやりを持ち、他人の気持ちに寄り添える組織づくりにつながります。共感力は緊急時だけでなく、日常でも発揮されることが重要です。恒常的にお互いを思いやる風土が根付いている組織を目指しましょう。
注意点として、単なるイエスマンにならないように意識させてください。相手の言動や表情に注目しつつも、しっかりと自分の意見がある状態が理想です。
専門的な研修プログラムを受講させる
自社だけで社員の共感力を育成するのが難しいと感じる場合は、外部の研修サービスを利用するのもおすすめです。社員の共感力向上に特化した研修プログラムがあります。共感力や傾聴力など、コミュニケーション能力向上に不可欠なスキルを体系的に身につけられる点が魅力です。社内外のコミュニケーションで必要なさまざまなスキルが学べるため、組織全体のエンパワメントが期待できます。
Off-JTの社員研修では、効果的な手法でトレーニングが可能です。ロールプレイング、スピーチ、グループディスカッションなどを使いわけ、より実践で具体的な使えるスキルの獲得を目指します。
社内のコミュニケーションによる共感力の向上は既知の相手とやり取りを行うためハードルが低い面が低く取り組みやすいのがメリットです。しかし、営業など社外の人とのコミュニケーションが求められる業務では役に立たない可能性があります。外部でも通用する共感力を身につけさせたい場合は、こうしたプログラムの利用を検討してみてください。
「共感力で相互に人を動かす組織を実現」
ビジネスにおいても重要視されるようになってきた共感力について解説しました。共感力のある人材を育成することで、相互のコミュニケーションが円滑になり、ストレスのない環境が実現されます。また、リーダーとして活躍するためにも、共感力が重要です。コミュニケーション能力が低い人は活躍の場が限られてしまうケースがあるほか、人生経験や体験によって能力が決まるため向上が難しい側面がありますが、共感力は意識的にトレーニングを行うことで成長が期待できます。総合的なコミュニケーション力を学べる研修プログラムも少なくありません。ポイントを抑えて、共感力の大事さを見直し、コミュニケーションが豊かな相互に人を動かす組織を目指してください。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。