育成力とは?若手社員の人材育成で管理職が意識すべきポイント
2021年12月24日(金)
若手社員や新入社員は、適切な育成指導を受けることで成長します。しかし、重要なのは、この“適切”がどのようなものかということ。とりあえずOJTを行い、後は現場に放り投げて自分で学習させる、といった育成方法では、大きな効果は期待できないでしょう。必要な考え方としては、「中堅社員以上のマネージャーが育成力を発揮し、目的意識を持って部下の成長をサポートする」ことです。そこで今回は、管理者が持つべき“育成力”にスポットを当て、その必要性などを解説していきます。合わせて、管理者の育成力を育む研修についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
育成力の重要性
育成力とは?
端的に言うなら、育成力とは「部下を育て上げる力」です。しかし、単に指導を行うことが育成力とイコールではありません。
ポイントとなるのは、中長期的な視点を持ちながら、部下の成長をサポートすることです。そのために、一人ひとりの部下に対する理解を深めたり、部下の課題に一緒に向き合い継続的にコーチングまたはフォローをしたりといった行動が求められます。最終的に、部下を自社の重要な戦力となる優秀なビジネスパーソンにまで育て上げることで、企業の組織力強化に寄与します。
育成力が重要な理由
上記で簡単に述べたとおり、育成力は組織全体のパフォーマンスにつながります。
たとえば、管理職が短期的な視点で物事を捉え、部下育成を怠っていたとしましょう。この場合、将来的な組織な発展は期待できません。そのタイミングでは優秀なスタッフが揃っており、業務がスムーズに回っていたとしても、教育を受けているスタッフや新入社員が戦力にならない未来が待ち受けているからです。
また、成長機会がない企業では、若手社員の早期離職といった問題にもつながります。このように、社員がしっかりと育つ環境が整っていることは、企業の強みとなり、企業が末永く発展するための大きなファクターなのです。
指導力との違い
育成力に似た言葉として、指導力があります。いずれも部下を教え導くという意味では同じですが、時間軸とアプローチの面で違いがあります。
指導は、仕事で必要な知識や技術を身につけさせるなど、一般的に短期的な視点でのフォローを指すことが多い傾向にあります。一方、育成は長期的な能力開発というアプローチです。いずれも部下を教育する際には必要な能力となるため、それぞれを併用することが望まれます。
【教育方法別】部下の育成で意識すべきポイントとは?
OJTの場合
OJT(On the Job Training)は、現場での実践を通して学びを得る教育方法です。経験豊富な上司や先輩の下、職場で直接指導を受けるのが一般的です。
指導のポイントとして、手取り足取り教えすぎないという点が挙げられます。ある程度まで手順や知識を与えた後は、本人に任せて指導者はそれを見守る、という形が望ましいでしょう。もしもOJT中のすべての業務を上司の言いつけに従って行っていたとしたら、現場で独り立ちしたときに本人が困ります。大切なのは様々な手法を用いて部下の自主性を育み、自ら行動をするよう導くこと。決して「指示待ち人間」にならないよう注意しなくてはなりません。
そのほか、対象者のレベルに適した課題を与えることも重要です。業務を一人で達成することにより、自分の力で問題解決を行える力が育まれます。
Off-JTの場合
Off-JT(Off-the-Job Training)は、現場を離れた状態で学習の機会を与える教育方法です。基本的には座学などを通し、ビジネスに必要となる知識・スキルを学びます。実践的ではありませんが、ビジネスの基礎を体系的に学べるのがメリットです。
また、Off-JTを実施した後はフォローアップ研修を実施するのがおすすめです。研修から一定期間が経過したタイミングで、振り返りや効果測定を行いましょう。たとえば、目標達成の度合をチェックし、対象者の成長を確認する、といった研修内容が挙げられます。これにより、知識の長期的な定着が期待できます。
メンター制度の場合
メンター制度は、所属部署の上司ではなく、年齢や社歴の近しい先輩社員が、新入社員や若手に対してサポートを行う制度です。業務上だけでなく、キャリア形成といった幅広い支援を行うのが特徴で、人材育成はもちろん、社員の定着率改善などにも効果が見込めます。
ただし、メンターを引き受ける社員の経験が浅い場合などは、負担が大きくなったり、質にばらつきが生まれたりする可能性も。そのため、制度実施の前にメンターとなる社員が研修を受ける、事前に新入社員の性格を把握するなど、準備が必要になる場合があります。
eラーニングの場合
パソコンやスマートフォンなどを使い、オンラインで社員に学習を行ってもらう方法です。時間や場所を問わずに学習ができる点や、学習の進捗状況の一元管理といったメリットが挙げられます。
一方で、社員のモチベーションを保つのが難しかったり、実技を習得しにくかったりというデメリットがないわけではありません。そのため、eラーニング単体の導入ではなく、そのほかの教育方法などを組み合わせながら進めていくのが効果的です。
管理職の育成力を高める方法
中長期的な人材育成計画を立てる
若手社員や新入社員を育てていく際には、はじめに人材育成計画を立てることが重要です。これは、部下の現状や過去を踏まえて、目標とする人材へと育成するための計画のこと。計画内には、今後身に付けるべきスキルや、成長のステップなどを具体的に記載していきます。なお、管理者が一方的に計画を考えるのではなく、対象者と面接などの話し合いの場を持ち、目標達成に向けて必要な支援を明らかにしていくとスムーズです。
加えて、マネージャーが継続的なサポートを提供することも非常に大切です。定期的なフィードバックや評価、目標達成が叶わなかった際のアドバイスなど、きめ細やかなサポートが求められます。
育成力向上に特化した研修を受講する
育成が必要なのは若手社員や新入社員だけではありません。管理者本人も、必要なスキルを身に着けるべく教育を受けることが大切です。
管理者に求められるスキルを強化するのであれば、研修プログラムへの参加がおすすめです。リーダーになってから経験が浅く、育成力を基礎から学びたいという方は、ぜひ以下の研修をご活用ください。
管理者養成基礎コース
管理者の任務について意識を高め、組織・部門運営におけるマネージメント力を強化するための研修です。単に知識を学ぶだけでなく、ディベートなどを通した行動的発想、コミュニケーション能力、スピーツ力が徹底的に鍛えられます。期間は13日間の集中合宿。もちろん、部下の育成に関わるスキルについてもしっかりと育み、マネージャーとしてのマインドを醸成します。
管理者養成基礎コースの詳細はこちらから「育成力が企業の未来を創る」
部下の成長は一朝一夕にはいきません。さまざまな課題が発生し、その都度解決に向けた取り組みが求められます。上司の育成力が試されるのはこうしたタイミングです。部下とコミュニケーションを取り、バランス感覚を持ってサポートを実施。その上で、誤った方向へ進むようなら自発的な軌道修正を促すなど、非常に高度な指導が求められます。しかし、そうして行った努力が実を結べば、この前まで新人だった社員が、どこでも通じるビジネスパーソンへと育つでしょう。そうして頼もしいメンバーを増やしていくことが、企業の発展にもつながります。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。