マネジメント能力向上のポイント|習得に必要なスキルは?

カテゴリ:マネジメント

2022年2月15日(火)

マネジメント能力向上のポイント|習得に必要なスキルは?

部下を従えるマネージャーには、プレイヤーとは異なるスキルが求められます。役職のレイヤーが上がれば上がるほど、求められる要求も高くなると考えて間違いありません。しかし、そもそもマネジメント能力を高めるには何をすべきなのか? どのような周辺スキルを身につければ良いのかでお悩みの方も多いでしょう。そこで今回は、マネジメントスキルを向上するための具体的なポイントについて詳しく解説します。

マネジメント能力とは

●マネジメント能力の特徴

マネジメント能力とは、ビジネスにおける経営資源を管理する能力の総称です。この場合の経営資源とは、人材だけでなくビジネスで使われる物品や運転資金のことも指します。
そもそも、マネジメントという概念が生まれたのはアメリカの経済学者であるピーター・F・ドラッカーです。彼の著書である『マネジメント』では、「マネジメントは組織の成果を上げるための道具、機能、機関である」と定義しました。その上で、「組織が成果を最大化するために、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を効果的に活用することが求められる」と書かれています。
このように、ビジネスにおけるマネジメントの対象は複数に及びます。そのため、マネジメントを行う人は、自分がどこまでの範囲に責任を持てて、かつ組織の目標・目的を達成するのに何が必要であるかを見極められなくてはなりません。その意味で、経営者はもちろん、人事担当者や管理職にとってマネジメント能力は非常に重要なスキルと言えるでしょう。

●マネジメント能力とリーダーシップの違い

マネジメント能力と混同して捉えられがちなスキルのひとつに、リーダーシップがあります。これは、部下やメンバーに進むべき方向を示し、率いていく力を指します。たとえば、プロジェクト運営や進捗管理など、目標達成に向けて舵を取る力などが該当します。どのようなビジョンを持ち、どのような導き方をするかが、リーダーシップの評価軸となるでしょう。
マネジメント能力にも、部下を管理する力が求められますので、その点はリーダーシップに近い特性があります。しかし、マネージャーが行うべき行動にはより広い視点と対象が求められるのが大きな違いです。そもそも、人材だけでなく予算や設備といった、モノやお金も含めた管理を行いますから、ある程度定量的な仕事が主になるでしょう。「誰・何をいつ、どのように動かすと、組織にメリットがあり、生産性が高まるのか」と俯瞰しながら考え、根拠、理由を基に実行へとつなげなくてはなりません。
ただし、マネージャーの意識、決定に部下がついてきてくれるかはリーダーシップの範疇とも言えます。その意味で、上級の管理職には、リーダーシップとマネジメント能力の両方が必要になるのです。

マネジメント能力向上につながるスキル

●論理的思考力

特定の問題に対し、冷静な分析を行い、順序立てて解決へと導く思考法のことを、論理的思考(ロジカルシンキング)能力と言います。すべてのビジネスマンが身につけるべきスキルではありますが、とくに管理者にとっては必須であり、必要不可欠とも言える能力のひとつです。
マネジメントの現場では、問題解決やプレゼンテーション、ファシリテーションといった仕事が待っています。論理的思考力は、これらすべての基礎とも言えるスキルです。複雑な要因が絡み合う組織課題解消という場面でも必ず役に立つため、ぜひ習熟しておきましょう。

●意思決定力

ビジネスは決断の連続です。そのため、複数の選択師の中から最適なものを選び、判断する意思決定力は、マネジメントを行う上で必ず必要になるスキルのひとつと言えるでしょう。
また、部下を管理する上では、上司の的確な指示が重要です。この際、上司が自身の責任において意思決定を行ってくれれば、部下としても指示に従いやすくなります。普段の仕事の任せ方ひとつとっても、意思決定力が試されているのです。

●コーチングスキル

コーチングスキルとは、指導する対象が持っている可能性を最大限に引き出し、成長をサポートする能力のことです。
ビジネスは、一般社員が上司から言われたことだけに従っているだけでは成り立ちません。自ら考え、行動ができるようにならない限り、一人前とは言えないでしょう。しかし、誰もがすぐに意識が高まり、自走できる人材になれるわけではありません。そこで重要なのが、上司のコーチングです。コーチングのポイントは、部下との普段のコミュニケーションにあります。こうした日々の交流が、信頼関係構築にもつながります。
なお、コーチングスキルは次にご紹介するアセスメントスキルのベースになるスキルでもあるため、総合的なマネジメント能力向上には欠かせません。

●アセスメントスキル

人にはそれぞれ得手不得手があります。自分の苦手な仕事ばかりを強いられては、誰であってもモチベーションが下がって当然。そこでマネージャーが身につけておくべきなのが、アセスメントスキルです。
この能力が身につくと、部下一人ひとりの性格や姿勢、得意分野を分析・把握し、適材適所な人員配置を行えます。また、得意分野を把握していることは正しい人事評価につながると共に、苦手分野伸ばす教育にも効果的です。個人面談などを含めたコミュニケーションを重ね、表面化しにくい「本音」を引き出し、マネジメント方針に取り入れましょう。

●ファシリテーションスキル

会議などの議論の場面で、全体の意見をまとめ、方向性を定めて、合意形成を図る能力のことをファシリテーションスキルと呼びます。なお、会議進行をする人物のことを、ファシリテーターと呼びます。
マネージャーは自分のチームでファシリテーションを行い、チームをコントロールする立場です。そのため、適切な進行は、会議の時間短縮や業務効率化、組織活性化に欠かせません。とくに近年はWeb会議、テレワークの増加と共に、オンライン上でのファシリテーションの重要性も高まってきました。管理者としてチームをより良い方向に導くために、ぜひ身につけておきたいスキルのひとつです。

●チームマネジメントスキル

「チームマネジメントスキルとは、目標達成に向けてメンバーが働きやすい環境を作るために、調整や仕組み作りを行って、メンバーそれぞれが最大限の力を発揮できるチームビルディングを行う能力のことです。
チームマネジメントを行う最大の目的は、成果を上げられるチームを作り上げること。そのためには、目標を正しく認識し、自らそのための問題解決をしていけるメンバーを育てることが大切です。

●業務遂行力

業務遂行能力とは、決断力やコミュニケーション能力などのスキルを駆使し、業務を円滑にやり遂げる力のことです。ビジネスパーソンにとって欠かせない能力であり、部下の見本となるマネージャーにも当然求められます。
なお、業務遂行能力は「保有能力」と「発揮能力」の二つに分けられます。前者はその人材がこれまでの経験などから身につけた力であり、後者はその力を最大限に活かして成果に結びつけ、実現する力です。これらを掛け合わせた結果が、仕事のパフォーマンスになります。

思うようにマネジメントできないときの原因

●部下との関係性に問題がある

マネジメントを実行する際には、部下との関係性が重要になります。良好な関係が築けていないと、仕事がスムーズに進みません。部下との付き合い方や仕事の任せ方に問題があるケースでは、こうしたトラブルも発生します。
部下からの信頼を得るためには、はじめに上司自身が部下を信頼することが大切です。プレイヤー上がりのマネージャーだと、つい自分で手を動かしてみたり、部下の仕事にあれこれ口を出したくなったりするもの。しかし、まずは部下を信じて、可能な範囲で業務を任せるようにしてみましょう。もちろん、業務上の不安があることも少なくありませんから、マネージャーによるサポートは前提として、部下の得意分野を考慮し、適切な業務を任せるようにするのがポイントです。

●部下が思うように動いてくれない

マネジメントがうまくいかず、プロジェクトの進捗状況が芳しくなかったり、部下の士気が下がっていたりする状況は、マネージャーとしての力量不足を表します。しかし、どれだけ的確な指示を出しても、部下が思うように動いてくれないというケースは少なくありません。
こうした際は、はじめに目標設定における認識の再確認を行いましょう。先行きが見えない状況が続けば、部下も不安を感じるようになります。すると、なかなか自分から行動を起こせなくなるものです。今の仕事にはどんな目標があるのか? 目標を達成すると、自社や部下にとってどのような利益が得られるのか? こうしたポイントを明示、可視化することで、部下のモチベーションを刺激し、自発的な行動が促されます。

マネジメント能力を向上させるポイント

●リーダーとして自分の考えを伝える

前述のとおり、マネージャーには、リーダーとしての能力も求められます。つまり、リーダースキルの向上が、マネジメントスキル向上にもつながるのです。
リーダーとして立ち振る舞う際のポイントは、はじめにチームへ明確なビジョンを示すこと。組織の目標を設定し、部下へと共有してください。部下との間で共通認識が深まれば、チーム一丸となり、計画的に目標達成に向けて足並みを揃えることができます。

●傾聴力を高める

マネージャーおよびリーダーが身につけておく必要のある実践的なスキルのひとつに、傾聴力があります。これは、心理学で用いられるコミュニケーション能力のひとつ。相手の話に耳を傾け、その内容を理解しようとする力のことです。
傾聴力の向上は、部下との良好な信頼関係を構築する上で非常に重要です。相手の心に寄り添い、気持ちを理解しようという姿勢で聞き役に徹することができれば、部下も素直な意見を伝えてくれるはずです。
なお、傾聴の際の重要なポイントとして、相手の話を遮らず、否定しないといったテクニック、手法があります。部下が本当に話したいことを伝えられる環境を作ってあげることも、マネージャーとしての能力と言えるでしょう。

●部下一人ひとりのことを認める

年齢や役職などにかかわらず、成果を上げた人物を褒められるような文化が社内で根付いていると、組織で働く人々の承認欲求が満たされます。全社的に難しかったとしても、自分が率いるチーム内ではこうした空気を醸成するよう努めましょう。
部下の目線で考えてみてください。成果に対する評価もなく、ミスがあったときに厳しい叱責を繰り返すような上司がいるような職場は、居心地が良いとは言えません。一方、自分の仕事ぶりをしっかりと見て、認めてくれる上司がいる環境は、安心して働けます。
そのためには、良い人間関係が構築できるコミュニケーション力が必要となります。評価はもちろん、普段からまめにあいさつをして、きちんと名前で呼ぶなど、適切な距離感でのコミュニケーションを続けるのが大切です。

●心にゆとりを持つ

自身がストレスフルな状態では、周囲へ気を配ることも難しくなります。また、ストレスは周りにも伝わりますから、部下を緊張させてしまうこともあるでしょう。その意味で、自身のストレスケア、ストレスマネジメントは非常に大切です。セルフマネジメントを意識、実践することで職場では常に余裕のある姿を見せられるよう心がけてください。

「強い組織はマネージャーが作る」

マネージャーには多岐に渡るスキルが求められます。それらが合わさることで、総合的なマネジメント能力が養われるのです。優れたマネージャーは会社に利益をもたらすだけでなく、将来的な組織力強化にも寄与します。さまざまなスキルアップのために管理者研修、マネジメント研修などを活用することで、今回ご紹介したスキルを身につけ、会社の発展につなげてください。


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