フランスからのレポート
社員教育研究所の活動がフランスのTVに紹介されました。
- フランスの誇る国営チャンネルにて放映
- 1962年の開局以来、フランス第2の国営チャンネルとして国民から長く信頼され続けてきたFrance2.
ツール・ド・フランスの制作やニュース情報の国際発信など、世界的な実績と需要も高いフランス有数のテレビ局と言うことができます。そして2009年5月、
France2の報道番組内の特集のひとつとして、社員教育研究所の研修内容と精神が取り上げられ、広く紹介されました
- 40km歩き続けることの意義
- 神妙な面持ちで講堂に正座する、白い着衣の受講生達。中には女性の姿も。初めて映像を見たフランスの視聴者にとって印象的に映るであろうシーンから、
13日間の研修を追うドキュメントは始まります。
実際に管理者養成基礎コースを受講した2名のビジネスマンの目線で進む映像は、入所前の家族との団欒から入所式や様々な研修内容、
最大の難関である「40km夜間行進」の模様や最後の「私の抱負試験」まで余さず記録。
当研究所の本質を損なうことなく、海外に向けて紹介していただくことができました。
ナレーション等、もちろん全編フランス語の構成ではありますが、部下の教育や社員育成といったものにご興味ある皆様にとっても非常にわかりやすい資料であり、
見ごたえのある内容となっております。
こちらに全編の和訳を掲載中ですので、ぜひ併せてご覧ください。
- ナレーター
- 東京から離れること3時間、特別な学校がある。
- 講師
- 「我が国は数ヶ月前から、100年に一度の経済危機に陥っています。
それを乗り越えるため、会社は3つの力を集約しなければいけません。
その3つの力とは人・物・金です」
- ナレーター
- 3つの力を学ぶため、日本のビジネスマン達はおよそ13日間
特殊訓練のようなショック療法を受けることになる。
日本は今年に入り、工業国中最大の不況のあおりを受け、 毎月1000社以上の会社が倒産という事態に陥っている。
参加者であるビジネスマンの任務はただひとつ、 不況を乗り越え会社の再建を図ること!
- 山内貞人さん
- 「静岡県から参りました山内貞人と申します」
- 講師
- 「3倍の声でやりなさい!」
- 山内さん
- 「部下の管理及び部下から尊敬される方法を学びたいと思います」
- 講師
- 「鈴木慎吾!」
- 鈴木慎吾さん
- 「はい、静岡県から参りました鈴木慎吾です。ここでリーダーとしての 指導力を身につけるため率先して行動します。以上!」
- ナレーター
- 山内さんや鈴木さんと同じく、今年はおよそ4000名が
この特殊な訓練に参加している。
フランス語で「ホワイトカラー」と呼ばれる、 いわゆる一般会社員、営業マン、中間管理者、エンジニア、 あるいは政治家、医師など皆上司や会社の命令を受け、 この学校へ参加することになる。
富士山の傍に佇むこのキャンプ場での、参加者達の生活、 2週間の様子を追ってみることにしよう。
日本、訓練されるビジネスマン
- ナレーター
- 本州のちょうど中心に位置する人口約70万人の工業都市、静岡。
早朝、鈴木さんは仕事へ向かう。
15年間、同じ化粧品会社で働いている鈴木さんは現在15人の部下を抱える 営業チームの課長であり、化粧品の販売促進をしている。
- 鈴木さん
- 「これ、このクリームで行こう」
- ナレーター
- 鈴木慎吾さんは典型的なサラリーマンである。
しかし、最近、彼は会社の期待に応えきれていないようだ。
会社に対して思うような成果をあげられず、業績も伸びず 売上が低迷している。そんな彼に上司から送られた特効薬は 『富士山の管理者養成キャンプ行きチケット』であった。
出発の前日、上司は鈴木さんに声を掛ける。
- 上司
- 「新卒の頃のように心身ともに活力を取り戻して欲しい。13日間頑張れるか?」
- 鈴木さん
- 「ええ。順調に行けば、13日で会社へ戻る予定です」
- 上司
- 「あそこにいると時間の感覚がなくなるからな」
- 鈴木さん
- 「はい」
- 上司
- 「もう一度、新入社員のころを思い出してチャレンジ精神を取り戻して欲しいと思います」
- ナレーター
- 鈴木さんの訓練費用として、会社は2600ユーロをキャンプへ支払う。
しかしこの会社が送り込むのは鈴木さんだけではない。
40歳の山内貞人さんもその1人だ。彼は本社の栄養食品課の課長である。
- 山内さん
- 「三井さん、抹茶類は2つあります。包装はこっちの方がいいと思います」
- ナレーター
- 上司の目から見た山内さんは内向的で、部下に対して
堂々と注意や指導が出来ない。
彼はこのキャンプの事を調べ、不安がつのっているようだ。
- 山内さん
- 「この訓練では精神的に追い詰められると聞きました。
講師達はプロですから参加者の心の中まで読まれるそうです」
- 上司
- 「諦めないで。応援するから、頑張って来なさい」
- 鈴木・山内
- 「ありがとうございます。それでは行ってきます!」
訓練生鈴木将之
- ナレーター
- その夜、取材班は鈴木さんの自宅に招かれた。
彼は妻と共に小さなアパートで暮らしている。
未知の世界へ入る前の、最後のプライベートな時間である。
- 鈴木さん
- 「あの学校は軍隊や刑務所に近いところだと聞きました」
- ナレーター
- 鈴木さんは許可されている持ち物リストを確認する。
- 鈴木さん
- 「パジャマは2つで充分」
- 奥様
- 「本当にネクタイを持っていくの?」
- 鈴木さん
- 「パジャマ2つと、夜の暇つぶしのためにこれも…」
- 奥様
- 「何言ってるの。そんな暇はないはずよ」
- 鈴木さん
- 「今は桜も満開のいい季節です。これから早起きしないといけません。
学校はすごく厳しいという話です。
なぜこんな訓練を受けないといけないのかな…」
- ナレーター
- だんだんと富士山が迫ってくる。キャンプまではそう遠くない。
参加者の緊張は徐々に高まる。
- 鈴木さん
- 「ちょっと憂鬱ですが富士山を見ると少し気分が晴れます。
良い研修になればと思います」
- ナレーター
- これからおよそ2週間、鈴木さんは相部屋で14人との生活を共にする。
普段教室として使用する部屋が夜になると宿舎となるのだ。
最小限の安らぎの時間、訓練を受ける参加者はここで寝る他はない。
2週間、すべてを共有するのだ。
初日。
準備の日である。まず参加者は訓練服に14枚のリボンを取り付ける。
14枚、つまり14の試練をクリアして初めて、 彼らはこの学校を卒業することが出来るのだ。
- 鈴木さん
- 「通常、試験をパスすると賞をもらいますがここは逆ですね」
- 参加者
- 「すごいですね。これ1つずつ取っていかなければいけないんですかね?」
- ナレーター
- ルールは簡単。試験をパスする度にリボンが1つずつ外されていくのだ。
- ナレーター
- この軍隊のようなキャンプでは、創立以来30年以上変わらない事がある。
毎朝5時半に起床、学校の旗を高く掲げ、校歌を歌うことである。
- 参加者
- 「春今なお遠く、風すさぶるところ…」
- 講師
- 「用意、始め!1、2、3、4…。伸ばせ、伸ばせ!かかと!かかと!かかとをつけて!左から、始め!」
- 講師
- 「この訓練で行われていることはさほど難しくはありません。
極端に言えば中学生でも理解すればすぐにできる事です」
- ナレーター
- 30分の体操を終え基礎研修へと戻る。
1ヶ月約15万ユーロを支給されて会社のために働く日本の 平均的サラリーマン達にとってこの訓練は自己変革教育と言えるだろう。
彼らはまず行動規則である「行動力基本動作10ヶ条」を 暗記しなければならない。
- 参加者
- 「1、ぐずぐずと始めるな、時間厳守。行動5分前には…。
2、行動に当っては短期間に最高の成果を…」
- 講師
- 「第2条!…」
- ナレーター
- 次の訓練は、お辞儀や上司に対する正しい挨拶についてである。
そして、限られた時間での電話で効率よく相手を説得すること。
きれいに書くこと。
栄養食品部の課長である山内さんは…。
- 山内さん
- 「行動にしても、言葉にしても、規則にしても、
今まで感じたことがなかった様なことです。
面白いと言うより刺激、いい刺激を受けているように感じます。
ここのルールと言うのは何ごとにおいても 真っ先に「はい」と返事をすることなんですね」
- ナレーター
- 背後に班友の声が響く中、山内さんは再び真剣に「行動力基本動作10か条」を暗記する。
- ナレーター
- 清掃も、教育の一環である。
- 講師
- 「おはようございます。」
「駄目、駄目、ここゴミが残っています」
「お客様が来社された時、指紋のついた窓や汚れた灰皿は 印象が悪いでしょう」
「いつでも、自宅にお客様を招くという意識で片付けないといけません」
- ナレーター
- 参加者は残った汚れを 7分半で綺麗にしなければならないようだ。
- 山内さん
- 「ここでは納期に間に合うように1つ1つクリアしていかないと
仕事がどんどん雪だるま式に膨らんでしまいます。
従ってやるべく仕事に優先順位をつけていかなければなりません。 これは職場での仕事と同じです。」
- ナレーター
- 本日の訓練は素読である。
- 講師
- 「あなたは最も同情に値しない!」
- 参加者
- 「あなたは最も同情に値しない!」
- 鈴木さん
- 「たちまち部下の仲間入りをし…」
- 講師
- 「無駄な息継ぎをしない、ちゃんと息を吸って」
- ナレーター
- 学生と同様、参加者ははっきりと話すことを学ぶ。
- 講師
- 「もう一回!よい声ですから、句読点を守って」
- 参加者
- 「あなたは最も同情に値しない!」
- 講師
- 「段々早口なっていますよ」
- 鈴木
- 「ここまでで良いという妥協点を超えさせる。
この考え方は教える側の私共講師も同じです。
訓練生の妥協点を上げる事が大切だと思います。」
- ナレーター
- 訓練中はすべてのことに時間制限が設けられている。
食事は 20~30分で済まさなければならない。
- 山内さん
- 「6.食物は口中の一方に片寄らず、『左右で』均等に咀嚼する」
- ナレーター
- 今日、山内さんは食事のルール「食事8則」を読み上げる。
- 山内さん
- 「7.栄養バランスを考え、『好き嫌い』なく食すこと」
- 講師
- 食事中は、審査のこと以外は何を話してもかまいません」
- ナレーター
- 食事でさえも訓練である。
- 宮西多加子さん
- 「お喋りもしますから、量もありますし、自分の少し遅いペースですと食事が終わりません」
- ナレーター
- 「お喋りもしますから、量もありますし、自分の少し遅いペースですと食事が終わりません」
- ナレーター
- 訓練中盤、鈴木さんはようやく少しずつペースが掴めてきたようだ。
- 鈴木さん
- 「最後までやり抜きたいなと思います。
短い期間ですけども精神的に強くなった気がします。
また、日本人としての『作法』『礼儀』も一から教えて頂きました。
リボンはまだ7つ残っています。残り半ですね」
- ナレーター
- 夜になっても、娯楽はない。施設内での携帯電話やテレビ、
ゲーム、雑誌は一切禁止。そして夕飯後、まだ1つ課題が残されている。
- 鈴木さん
- 「書式にそった手紙を書くんです。漢字の誤りはだめ、
しかも限られた時間の中で作成しないといけません」
- ナレーター
- 毎晩、参加者達は社長宛に手紙を書かなければならない。
決められた書式に則った報告書を書く訓練である。
訓練で学んだ良いことも悪いこともすべて報告する。
そして一番大切なことは、訓練に派遣してくれた会社に対して 感謝を込めなければいけないということだ。
宮西多加子さんは、このなかなか終わらない課題に 少し嫌気がさしているようだ。
- 宮西さん
- 「まだ課題がいっぱい残っているので、早めにお風呂に入りたいです。
残った課題は22時までに終わらせないといけません。
22時には宿舎に戻らないと駄目ですから」
- ナレーター
- このキャンプでは、22時半消灯である。
- ナレーター
- 今日は、このキャンプに参加して以来、初めての課外授業が行われる。
参加者は久々にスーツを着ることになるのだが緊張は高まる。
参加者は講師達に研修歌「セールス鴉」を練習するように言われたまま バスへ乗り込むことになるが、このバスがどこへ向かっているのかは 何も教えられていないようだ。
- 参加者
- 「覚えてない部分を練習してください。始め!」
- ナレーター
- 研修歌「セールス鴉」を大声で歌うこと。
ただし、どこでも良いわけではない。歌うのは国道の前である。
道路の反対側に立つ講師にその歌を聞かせなければならない。
目的は、内気や羞恥心を乗り越えるためである。
1回目の宮西さんの番。駄目だ、ほとんど聞こえない。
2回目の山内さん、成功だ。
- 山内さん
- 「良かった、うまくいって。でもあれが歌といえるかどうか。また、声が枯れました」
- ナレーター
- 約2時間の間に1人ずつ、試験は執り行われる。宮西さんは3回目にようやく成功した。
- 山内さん
- 「いや、今回はうれしいです。やっと何か達成することが出来ました」
- 宮西さん
- 「頭の中が真っ白で固まってしまいましたが、やるしかなかったので」
- ナレーター
- 大声で歌い、規則を叫ぶ。子供のように命令され、怒鳴られ、
一体どうしてサラリーマンはこんなに嫌な訓練を
我慢することが出来るのであろうか。
この慢性的な精神的圧迫に対しどのような状態でいるのであろうか。
- ナレーター
- 体力的、精神的、また健康的に優れない参加者達は
医務室へ通わなければならないこともある。
ここでは講師が1日3回血圧を計る。
- 講師
- 「息を吸って、吐いて、ゆっくり」
「血圧の基準値より高い場合は入校をお断りする場合もあります。
こちらとしては残念ですが仕方がありません。」
- ナレーター
- 毎年、約2パーセント程度の参加者が途中で体調をこわす。
精神的圧迫と共に身体的な試練もあるからだ。
- ナレーター
- 一番厳しいのは、40kmを歩く「40km夜間行進」という訓練である。
学生以来まったく運動をしていない会社員も多数存在するという。
- 宮西さん
- 「もう考える余裕はありません。命令されたことをただこなすだけです」
- 参加者たち
- 「やるぞ!やるぞ!やるぞ!やるぞ!」
- ナレーター
- さらに難易度を上げるため、この訓練はただの歩行ではなく、オリエンテーリング方式になっている。
- 参加者
- 「ここだ!OK、OK、赤い札です」
- ナレーター
- このオリエンテーリングでは、チェックポイントを見つけながら目的地を目指すことになる。
山内さんのチームは遅れがちだ。体力的にもあまり優れておらず、道もなかなか見つけられない。
- 山内さん
- 「まだ若いですから足は大丈夫です」
- ナレーター
- 15km以上先行して歩いている鈴木さんのチームが休憩に入ったようだ。
休まないと最後まで体力が維持出来ない。
- 鈴木さん
- 「ここまではなんとか来られましたが、大変なのはこれからです」
- ナレーター
- 常に右側を並んで歩くという規則にそってただ黙々と歩き続ける。
途中誰かに道を尋ねたりすることは厳禁である。
- 参加者
- 「大丈夫ですか宮西さん?」
- ナレーター
- 42歳、コンピュータソフト会社の責任者である宮西さんは傷を消毒する。
ペースをなかなか掴む事ができないようだ。
- 参加者
- 「歩く時は足の指もしっかり使わないと」
- 宮西さん
- 「本当に痛いんです」
- ナレーター
- 辺りが暗くなると、講師達は周辺を確認しに向かう。
なぜなら去年、森の中で1チームが道に迷い、キャンプに帰るまでに丸1日以上かかったのだという。
- 講師
- 「暗くなると精神的に応えます。さらに食後の満腹時は全てのことが難しくなります」
- ナレーター
- 1人の兵士として、宮西さんは自分の体力以上の力を振り絞りる。
到着はまだまだ先。日も傾いて来た。おにぎりを急いで飲み込む。
- 山内さん
- 「時間はないし、10分で食べ終わらないといけないし…」
- ナレーター
- 鈴木さんのチームは、とうに食事を済ませ最終地点を通過した。
- 参加者たち
- 「水や手袋のせいで手がふやけてきます」
「地獄を見るために会社からこのキャンプへ送りこまれた。
私達がこの状況をどうやって乗り越えるかを会社は見たかったのです」
「頑張ろう。あとちょっとだから。行こう、さあ!」
- ナレーター
- 疲労も極限に達したころ、鈴木さんとそのチームが最初にキャンプに到着した。10時間の歩行訓練のうち8時間は雨の中、6時間は夜中に及んだ。到着時刻は夜11時45分。
- 鈴木さん
- 「もう二度とやりたくないです、絶対」
- ナレーター
- 30分遅れて別のチームもキャンプに到着した。
しかし休んでいる時間はない。次の日にはまた試験が待っているのだ。
- ナレーター
- 13日間に渡る過酷な障害物競走のラストスパートである。最後のリボンを外せるよう祈る。
- 講師
- 「おめでとう」
「ほら、やれば出来るんですよ。」
- 山内さん
- 「今日は最終日ですがあと5つリボンを外さないといけません。難しいですね」
- 宮西さん
- 「私はまだ11個も残っています。まあ、ちょっと風邪もひいたし、仕方ありません」
後編
- ナレーター
- 訓練の最後は上司達がお客様として参加する。
社員の改善を確かめるためだ。
山内さんは久しぶりに上司と会い、報告する。
- 鈴木さん
- 「全身全霊で取り組み最後までやり遂げます。
また、最後のスピーチでは身をもって自分の至らなさを感じました」
- 上司
- 「訓練を受ける前と今とでは、本当に変わったように感じます。
今日は自分自身が訓練生のような気持ちになっています」
- ナレーター
- 鈴木さんは卒業できる可能性は高いがまだ1つリボンが残っている。
卒業するためには最終試験に受からなければならない。
- ナレーター
- 最後の試験は自己批判試験である。
全ての自分の欠点を明確に話さなければならない。
この最終試験の前、参加者達はお互いに激励しあう。
- 参加者たち
- 「頑張ろう、皆で修了しよう。出来るから、頑張ろう」
「頑張って、一緒に頑張ろう、最後まであきらめないで、出来るから」
- 参加者
- 「講師の方々には私の行動に対して色々な指摘をして頂いたのに、私は気づくことが出来ず、すごく自己的であったと感じています」
- 講師
- 「その通りです」
- 参加者
- 「…努力を続け、これからも頑張ります」
- 講師
- 「合格!ほら、できると言ったでしょう?」
- 参加者
- 「ありがとうございました」
- ナレーター
- スピーチ試験の数分前、鈴木さんの緊張は徐々に高まる。
- 鈴木さん
- 「基礎コース第1班、鈴木慎吾です!」
- 審査員
- 「どうぞ」
- 鈴木さん
- 「第4に、誰かの下につきたくないという気持ちがあるのです…」
- 審査員
- 「もう一度お願いします」
- 鈴木さん
- 「第4に…すみません…」
- 審査員
- 「そこまで」
- 鈴木さん
- 「ありがとうございました」
- ナレーター
- 試験に落ち終了となった。社長の見ている前でもっと頑張りたかっただろうに…。
- 鈴木さん
- 「お辞儀をするのを忘れてしまい、審査そのものを受ける事が出来ませんでした」
- 記者
- 「礼儀失格?」
- 鈴木さん
- 「はい、礼儀失格です」
- ナレーター
- 13日目、修了式の日。
創立者である元橋康雄氏、72歳。
毎回修了証書を修了生達へ渡しにやって来る。
今回の基礎コースの参加者50名中、卒業出来たのは8名。
- 元橋代表
- 「修了、おめでとうございます」
- 講師
- 「今現在、大変厳しい社会の現状ですが、日本の会社が不況を乗り越えるため共に頑張ってください」
- ナレーター
- 卒業出来たダークスーツの者達と、試験に合格出来ず卒業出来なかった白い訓練服の参加者。卒業出来た者への賞賛。
- 参加者
- 「あなたも出来るから」
- 鈴木さん
- 「了解です。了解。判った」
- 参加者
- 「頑張って、あなたも出来るから皆に見せないと。頼みますよ」
- ナレーター
- 卒業した者達はここで開放される。
- 参加者
- 「本当にうれしいです。しかしここは訓練の場です。学んだことをこれから会社で実践しないと意味がないですから」
- ナレーター
- 栄冠を勝ち取った者達は、卒業出来なかった者達とここで別れる。
そして残された鈴木さんと山内さん達42名は、合格出来るまで学校に残 ることになる。
残っているリボンを外す、最後の試練へと向かうために・・・。